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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2012/08/25(土) NO.727号 

日本に「原子力廃炉庁」を

 日本の原子力発電所で廃炉が決まっているのは、現在8基ある。そのうちの4カ所は大震災で被害を受けた福島第一原発の1号機から4号機までの4基。残りは、日本初の原発である東海発電所1号機、純国産技術で最初に開発された「ふげん」、そして中部電力の浜岡原発1号機と2号機だ。

 もともと原子炉の廃炉は数十年かかるとされている。運転停止後数年間は残留放射能の影響から敷地内に立ち入ることは出来ない。従ってロボットでの解体作業となるが、何十年も前の原発であれば設計図も現存しておらず、それも困難なのだという。

 更に福島原発の場合は炉心溶融という前代未聞のケース。廃炉費用も数兆円に上るとも言われている。東電は自力で賄うのが困難になった場合、新たな支援を政府に要請するとしているが、東電にその作業を任せきりにし、費用は丸々国民負担というのでは、国民の納得は得られないだろう。

 今年の4月、英国のキャメロン首相が来日した際、イギリス大使館で「日英原子力サミット」が開催された。日本政府からは枝野経産大臣や細野原発担当大臣が出席し、私もお招きにあずかった。その際、キャメロン首相やウェイトマン英国原子力規制庁長官の口から、英国には「原子力廃止措置機関」(NDA: Nuclear Decommissioning Authority)、通称「廃炉庁」というものが存在することを耳にした。

 英国でも、原子炉を有していた事業者が債務超過に陥り、廃炉が適正に行われるか国民の懸案になったことがある。そこで、何十年もかかる廃炉に責任ある組織対応が必要であるとして、総合的な戦略と責任体制の確立、安全規制との調整、適正な除染、債務保証及び効率的なコスト管理を目的として「廃炉庁」を創設し、省庁から独立した公的機関としたのだという。

 廃炉の際特に大事なことは、
(1)近隣住民、作業者の安全を保証すること
(2)環境への影響を最小にすること
(3)廃炉費用を最小にすること
(4)情報公開、透明性、国民の信頼を確保すること
である。英国廃炉庁でも柱となっている指針。日本の議論にとっても重要な視点だろう。 

 日本はこれまで国策として原発政策を進めてきた。それなのに廃炉は事業者任せ、では許されないだろう。折しも政府も、国の廃炉処理への関与強化の法的整備の検討を始めたとのこと。私はそれに更に一歩進んで、日本にも「廃炉庁」を創設することを提案したい。