2005/11/21
やすひさの瓦版(第66号)
この度の第3次小泉改造内閣発足に際し、お陰様で外務副大臣を拝命致しました。地方を含めた国民生活に外交が大きく影響を及ぼす今日、国益や国民の利益実現のための戦略的外交展開に貢献して参りたいと存じます。
政治主導の対外政策の確立
今回の外務副大臣就任は、私にとって政府内の仕事としては大蔵政務次官以来、対外政策に直接関わるのは自民党外交部会長以来です。副大臣・政務官を創設した目的は、単に国会審議活性化にとどまらず、大臣を中心とした政治家がチームとして行政府に入り、役所の知恵も活用しながら政治主導の政策立案を実現することでした。「チーム麻生」の下、難問山積の外交に積極的に取り組む覚悟です。
日本外交が直面する課題は広範かつ複雑です。加えて、地元愛媛県経済や地方での生活を見て分かるように、国民生活と外交の距離は極めて近くなっています。規模の大小を問わず、あらゆる業種の企業が外国に投資をし、取引をし、人的交流をしていますし、食卓の食材、衣類はもとより国民の日常生活の隅々にまで外国製品が入り込んでいます。また外国からの労働力も、研修目的などで、愛媛でも多く流入しています。外交政策がどう動くかで国民生活が大きく左右されるのです。このように、「外交は内政だ」というべき今日、幅広く国民生活の視点から、中長期的な将来をにらんだ、筋の通った戦略的な対外政策を展開しなければなりません。
地域、テーマ横断的に総合的世界戦略を
かつて自民党外交部会長を務めていた際、中国による日本近海測量・調査船問題を、ルールを新たに設けて解決しました。今日、東シナ海の海底油田・ガス田開発問題が新たに外交問題化しています。この問題の根源を考えると、経済水域境界問題にとどまらず、中国が国内に抱える根深い問題に到達します。つまり、13億人もの国民生活を支えるために経済発展持続は不可欠。そのため、中国は世界の生産基地として生き残るために必要なエネルギー源を確保しないといけない。今、中国は、アフリカ、南米、中東、中央アジアなど全世界で活発にエネルギー源確保に努めており、その一つが東シナ海での開発問題なのです。さらに靖国問題など固有の問題も加わって、日中関係はなかなか出口の見つからない状態になっています。しかし、中国の積極的な対アジア戦略など多くの事象を、同様の問題意識で改めて中国国内問題の視点から考えると、一本の筋が見えてくるはずです。軍拡問題、国連改革問題、北朝鮮問題、中ロの接近、アフリカ戦略、等々あらゆる問題の根っこは同じかもしれません。やはり「外交は内政」なのでしょう。
となれば、我が国は、海上権益問題をひとつ取り出して感情的に反応するのではなく、日本自体の総合エネルギー戦略をまず確立させた上で、日本の10分の1とも言われる中国のエネルギー効率を向上させ、環境問題も解決し、なおかつこの地域の経済成長を確保するため、日本が当事国や他の国々と協力して何ができるのかを見極める事が大切です。そして、こうした観点を含めて、日米同盟を基本に日本の安全保障政策全般を考え直すことも必要でしょう。まず足下のアジアでの相互理解を一層深めるため、例えば中国を含むアジアの高校生留学を日本家庭に多く受け入れるなどの息の長い、地味な政策も重要なはずです。
ことほど左様に我が国は、地域や政策テーマを超え、日本を中心とした総合的な独自の世界戦略を構築する時に来ていると思います。しっかり勉強し、国の行く末を指し示すことができるよう、頑張って参りたいと思います。
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